本項では一般家庭で使われている各薬剤がどのような安全性の試験を重ね、どのような法律の下で承認されているかについて触れ、家庭用殺虫剤の安全性について説明します。赤痢や日本脳炎など感染症の媒介者であったり、刺咬によって不快感を与える害虫を、殺虫剤を使って駆除はしたが、自分自身が殺虫剤の為に気分が悪くなったり医者に行ったりしたのでは何をしているかわかりません(表1)。
殺虫剤の安全性とは一口に言って、「人には害を与えず虫には有効な殺虫剤をつくること」と言えます。即ち、極めて微量で害虫に有効であるが、通常の使用では人体に影響を及ぼさない薬剤を開発することから始まります。しかし、いくら影響がないと言っても薬剤に変わりはありません。たとえば、私達が薬局で容易に購入することが出来る内服薬でも、用法・用量の何倍も服用すれば安全とは言えないでしょう。殺虫剤も基本的には同様です。ハエ、蚊、ゴキブリ等を駆除する適量を使っている時は安全ですが、その何倍もの量を使用すれば問題が出てくる可能性もあります。
現在の科学は個々の殺虫剤について、或る範囲内で使用すれば有効且つ安全であると確認することが出来ます。例えば、人に対して急性毒性が弱いことは勿論ですが、慢性的な毒性も弱い、生まれてくる子供に影響がない、刺激性がない、アレルギー性がない等、それを確かめるためにいろいろな試験が重ねられます。そして各殺虫剤メーカーは安全性及び有効性を確認したうえで、医薬品あるいは医薬部外品として厚生労働省に製造販売承認の申請を行います。厚生労働省では薬事法に基づき審議会を開くなど専門的検討を加え、その効力と安全性が評価されることになりますが、日本の安全性評価基準は国際的にみてもかなり高い水準にあると言われています。従いまして、この審査を受け、承認を得た殺虫剤は適正に使えば安全性と効力が確保されていると考えて良いと言えます。
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